なぜ日本の野党協力は難しいのか
中道改革連合は、結成からわずか7カ月で、すでに分裂に向かっている。8月31日、中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党は、立憲民主党が党内の議員や地方組織からの反対を受けて参加を見送ったため、全面的な合流を断念した。中道改革連合は現在、立憲民主党出身議員と公明党出身議員に分党する方向に進んでいる。
分裂の背景には、2月の衆議院選挙での大敗がある。中道改革連合は、立憲民主党と公明党が1月、衆議院での勢力を統合して結成した新党だった。両党は選挙前に合わせて167議席を有していたが、中道改革連合が選挙で獲得したのは49議席にとどまった。これに対し、高市早苗首相率いる自由民主党は316議席を獲得し、衆議院の3分の2を超える議席を確保した。
しかし、中道改革連合の分裂は、単に一つの合流構想が失敗したというだけの問題ではない。そこには、日本で野党間の協力を繰り返し難しくしてきた、より広い障害が表れている。分裂が選挙上の不利益をもたらすにもかかわらず、組織上の制約、イデオロギー上の隔たり、そして選挙制度が生み出す相反する動機が、各党を引き離してきた。
第一の障害は組織である。日本の野党組織に関する研究では、分裂や合流によって上から形成された政党は、強固な草の根組織を築きにくいことが指摘されてきた。国会議員レベルでは比較的短期間で合流を進められても、地方組織の統合は容易ではない。地方議員は自らの選挙を戦ううえで、既存の党名や支持基盤に依存している。
中道改革連合も、当初からこの問題を抱えていた。衆議院議員は新党に参加した一方、参議院や地方レベルでは立憲民主党と公明党が別組織のまま残った。とりわけ2027年の統一地方選を控える中、立憲民主党の国会議員や地方組織からの反発が、全面統合の大きな障害となった。
第二の障害はイデオロギーである。安全保障をめぐる野党各党の立場には大きな隔たりがある。野党分裂に関する研究では、憲法改正をめぐる対立が「くさび」となり、反政権の有権者が一つの野党にまとまることを難しくしていると指摘されている。中道改革連合に参加する前、立憲民主党は2015年の安全保障関連法について、「違憲部分」の廃止を求めていた。公明党は自民党とともに同法制の成立に関与し、その枠組みを維持する立場を取ってきた。
中道改革連合は最終的に公明党の立場に近づき、平和安全法制が定める「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使」を合憲と位置づけた。日本共産党、国民民主党、そして現在は自民党の連立相手である日本維新の会の間でも、防衛費や非核三原則の扱いなどをめぐって立場が異なる。
2017年の野党再編は、その一例である。2017年、民進党は事実上、衆議院で独自候補を擁立する方針を取り下げ、所属議員に小池百合子氏が立ち上げた希望の党から立候補するよう促した。しかし、小池氏は候補者に対し、2015年の安全保障関連法を受け入れ、憲法改正を支持することを求めた。こうした条件を受け入れなかった議員らは、立憲民主党を結成した。
第三のジレンマは選挙制度から生じる。衆議院選挙では、小選挙区制と比例代表制が併用されている。有権者は、小選挙区では候補者に、比例代表では政党に、それぞれ1票を投じる。各党は小選挙区に候補者を擁立するとともに比例代表名簿を提出し、多くの候補者が重複立候補する。
この制度の下では、野党には協力する理由と競争を続ける理由の両方が生じる。野党全体としては、小選挙区で候補者を調整するメリットがある。一部の政党が候補者の擁立を見送れば、反自民票の分散を避け、過半数に届かない得票でも自民党候補が議席を獲得する可能性を下げられる。
一方、日本の選挙制度に関する研究では、「コンタミネーション効果」も確認されている。小選挙区に候補者を立てることで、一部の野党では同じ地域の比例票が増える場合がある。したがって、候補者を取り下げれば、野党全体としては小選挙区で有利になっても、その政党自身の比例票を減らす可能性がある。野党全体の利益と個々の政党の選挙上の利益が一致しないという、集団行動上のジレンマである。
もっとも、政策面で妥協し、選挙協力を進めれば成功が保証されるわけではない。中道改革連合は2015年の安全保障法制をめぐって共通の立場をまとめ、2月の選挙でも広範な候補者調整を行った。公明党出身の候補者は小選挙区への擁立を見送り、中道改革連合の比例代表名簿で上位に配置された一方、中道改革連合の小選挙区候補の大半は立憲民主党出身者だった。
それでも、中道改革連合は、それまで立憲民主党と公明党が得ていた支持を維持できなかった。比例代表では、中道改革連合の得票率は約18%にとどまり、2024年衆議院選挙で立憲民主党と公明党が合わせて獲得した30%超を大きく下回った。とりわけ無党派層での不振が目立った。無党派層のうち、比例代表で中道改革連合に投票したのは約15%で、2024年には立憲民主党と公明党への投票が合わせて約30%だった。
選挙のタイミングも、中道改革連合の苦戦に影響した可能性がある。高市首相が解散・総選挙に踏み切ったことで、野党の準備期間は限られた。日本の過去の衆議院選挙を分析した研究では、予想外の解散総選挙が野党に不利に働く「サプライズ効果」が示されている。こうした選挙では、候補者調整が進みにくくなり、有力な候補者の擁立や選挙運動への支出も減る傾向がある。
結成直後の中道改革連合は、こうした不利をとりわけ受けやすい状況にあった。結党から投票日までの短期間では、選挙組織を統合し、政策上の違いを調整し、明確な政治的アイデンティティを築く余裕は乏しかった。一方、日本初の女性首相となった高市氏は、高い内閣支持率を背景に選挙戦に入り、自らのリーダーシップを前面に押し出した。
中道改革連合の経験が示しているのは、政党を合流させ、候補者調整を行うだけでは、日本の野党が抱える問題を解決できないということだ。選挙協力は票の分散を抑えることはできても、それだけで組織の統合や政策面のまとまり、有力な候補者層が生まれるわけではない。野党が自民党に代わる現実的な選択肢となり得ることを有権者に示すには、明確な政治的立ち位置を築くリーダーシップと、それを伝える発信力も求められる。
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